(1)「ヴァイオリン・ソナタ」(「作品リスト」No.9 日本作曲家協議会(JFC)版,CD制作)
今でも自分の原点と今後の方向性を確かめるために時々聴いています。
玉木宏樹氏(「ゲゲゲの鬼太郎」のテーマ曲等で活躍中)が初演時にわざわざ楽屋に訪ねて来て”良かった。毎コン(=日本音楽コンクール)に出せば、間違いなく一位だったのに。”と言ってくれた事も思い出です。(コンクール出品条件は未発表作品のみ。氏は当時から作曲に強い関心を持ち我々作曲科学生と親交があった)
構成上さまざまな工夫がしてあり、終楽章がL・V・Beethoven作曲「第九スィンフォニー」のフィナーレ冒頭のように、前出テーマを回想する等が成功の原因かな、と一人でニンマリしています。
第一楽章:再現が第2テーマから始まるソナタ形式。
第二楽章:子守唄が調や音域を変えながら単純に繰り返されるリート形式。
終楽章:活発なロンド形式。
初演者:渡辺杳(ジュリアード音楽学校勤務) Pno.小門敬子(前武蔵野音大教授,旧姓_長尾)
(2)「ピアノ・ソナタ」(「作品リスト」No.10 マザーアース版 音源付き)
一般公開初演時(仙台)に作曲仲間から”すばらしい。これ1曲だけで名前が残る。”と評されました。
他にも留学経験者から”良い曲ですねー。後期ロマン派のスタイルで書かれた日本人の作品がもっとあったら良いのに。ヨーロッパでは日本のように前衛ばかりを追わずに、自分に合った作風を大事にしている。”もありました。
前作の「ヴァイオリン・ソナタ」の手応えから当分使う語法については決まってたのですが、大作曲家がその習作期の修了作として、それまで身につけた技法を使い佳作を書いていることを西音史を通して識りました。そこで調性だけを使っていわゆる名曲を作ることに全力を尽くしました。その意味で前出の”~1曲だけで~”は皮肉というより、むしろ彼の本音としてありがたく頂戴した次第です。
試演と、大学関係者が主対称であった「作陽音楽大学教官演奏会」とだけでお蔵入りにする考えでしたが、公開演奏に踏み切ったのは、学生諸君に”背中で示す”こと、および一般聴衆にクラスィックの作曲についてもっともっと親しみを感じて頂くこととの必要性を強く覚えたためでした。
試演者:小門敬子 初演者:故松浜恵子(旧姓_日渡)元武蔵野音大, 山形大学各講師
(3)「リブ(Fl.とPno.のための)」(「作品リスト」No.6 日本作曲家協議会版,CD制作)
同僚であり、日本Fl.界の大御所である宮本明恭氏のたび重なる勧めがあって生まれた作品です。
故矢代秋雄先生の影響を受けた楽曲分析法の参照教材曲として、理論とそれが表わす
イメージ・効果等との関係を学生に説明できるように全力を尽くしました。
その成果からか、初演時に”日本を代表する現代Fl.曲である。”との評を現代音楽の研究者から得られました。
公開初演は門弟であり、友人でもある佐々木良純氏の「第一回作品発表会」に賛助出品曲として行われました。
初演者:Fl.村田邦夫 Pno.吉田夏美_旧姓.渡辺(ob.試演者:杉山光洋(Ob.でも演奏可能))
(4)合唱曲組曲「ある日ある時(全8曲)」(「作品リスト」No.31)
異る8人の詩を使ったことによる冗長さを心配したのですが、おおむね好評で、特に第2曲の「風唄(伊藤信吉詩)」は絶賛されました。
詩人に楽譜と音源を献呈したところ大変気に入ってもたえたのか、丁寧な礼状と共にサイン入り近刊詩集を贈って戴きました。
その他にも第5,7,8曲の「綿雪(和田徹三詩)」、「初恋(吉原幸子詩)」、「春に寄せて(大岡信詩)」が好評で、中でも「綿雪」は 優美なメロディーと印象的にリフレインされるつぶやくような ”わたゆき~”等々が女性の強い支持を集めたようです。
全曲初演指揮を執った藤野祐一氏(現山形大学大学院教授)は、当時同僚に加わって間もなくでしたが、彼の着任時の思い出も遠いものとなりました。
つけ加えると「プリマヴェッラ」(山形大学特音の学生33名で構成)の諸君,諸嬢の協力があってこその45分にもわたる全曲初演でした。
(最初にして最後の?)
感謝!!! 感謝,感謝.......。
(5)「無伴奏独奏Vc.のための悼(本間雅夫氏を偲んで)」(「作品リスト」No.43)
東京での改訂初演時にブラボーと客席から声がかかったり、作曲者紹介を終えて自席に戻る途中で握手を求められたりし、また休憩に入るや否や作曲仲間達が足早に近寄り開口一番 “良かった。それにしてもVc.の特徴を活かし切ったね。日本を代表する現代Vc.曲になるから、演奏チャンスをもっと作るべきだ。” 等と言ってくれたことが印象に残っています。
それにつけても初演(仙台)の八島珠子さん(仙台フィルハーモニー団員)の熱心な取組があっての成功でした。
ふつう事前レッスンは譜面を早目に渡してあっても1,2回しか作れないのです。しかし、彼女はソロでの現代曲は初めてとのことで4,5回打ち合わせも含めて時間を作ってくれました。リハーサルでの夫君(チェンバロ製作者)がさまざまな音楽上のアドヴァイスを適確にしていた光景を微笑ましく思い出します。
故本間雅夫氏(宮城教育大名誉教授)は、その旺盛な創作活動と組織力とで長年東北の作曲界をリードして来た大先達です。私もいろいろな意味で大変お世話になりました。
改めて合掌。
お薦め作品への補足
このウェブサイトの初めからP.2の図1,2,3までを読み進めて、“この人本当に作曲家なの?ずいぶん理屈っぽい。作品もきっと分かりづらいだろうから、もうアクセスやめようかな。”と感じた方が多いと思います。図星でしょう?
このウェブサイトはアマチュアの熱心なクラスィック・ファンとの学び合い、教え合いと、演奏技能向上
いつまで経っても教師気分・音楽家気分が抜けなくて反省しています。※
この項目には、せっかくのアクセスを途中で打ち切られないために、私の作品群への入門データとしての役割を持たせました。気配りしたことは以下3点です。